「この動画はなぜ当たったのか」。ここに答えられないと、次の動画はまた運任せになります。勝ちクリエイティブの分析は、当たりを再現できるものに変える作業です。
この記事でわかること:
- 「勝ち」の定義を決める方法
- 動画を要素に分けて、勝因を見つける手順
- そのまま使える分析シートのテンプレートと、次の企画への落とし込み方
結論は、動画を「冒頭・訴求・構成・演者・CTA」に分けて記録し、勝ちと負けを並べて比べることです。
まず「勝ち」の定義を決める
分析の前に、何をもって「勝ち」とするかを決めます。ここがあいまいだと、人によって勝ちが変わり、議論がかみ合いません。
定義を決めるときのポイントは3つです。
- 最終指標で決める:再生数やいいねではなく、CPA(獲得単価)やROAS(広告費に対する売上)など、事業の成果に近い指標を軸にする
- 配信量の条件をつける:少ない配信で出た好成績は偶然のことがある。一定以上の消化額や表示回数を満たしたものだけを対象にする
- 自社の基準を持つ:「目標CPA以内で、同時に配信した動画の中で配信量の多くを占めたもの」など、自社のアカウントに合った物差しを作る
媒体は、成果が良さそうな動画に配信を寄せていきます。そのため、同時に配信した中でどれだけ配信を集めたかも、勝ちを判断する手がかりになります。
比べ方をそろえる
分析でよくある失敗が、条件の違う動画を並べて比べることです。
- 配信を始めたばかりの動画と、数ヶ月配信した動画
- 予算の大きいキャンペーンと、小さいキャンペーン
- 別の媒体、別の配信面(フィードとリールなど)
長く配信した動画は、見慣れた人にも表示されるため数値が落ちやすくなります。動画そのものの実力を比べたいときは、表示回数や消化額をそろえた時点で比べるのが公平です。
動画を5つの要素に分解する
勝因を見つけるには、動画を要素に分けて記録します。おすすめは次の5つです。
| 要素 | 記録すること | 例 |
|---|---|---|
| 冒頭(フック) | 最初の2〜3秒のセリフ・画・テロップ | 問いかけ/結論先出し/ビフォーアフター |
| 訴求軸 | 何を一番伝えているか | 価格/手軽さ/効果/口コミ/共感 |
| 構成 | 話の流れ | 悩み→解決→証拠→行動 |
| 演者・トーン | 誰が、どんな話し方で | 30代主婦・友達に話す口調 |
| CTA | 最後に何をしてほしいと言っているか | 「無料で試す」/「まずは診断」 |
ここに、尺・形式(UGC風、インタビュー、商品アップなど)・撮影場所を加えてもかまいません。大事なのは、全部の動画を同じ項目で記録することです。項目がそろっていないと、あとから比べられません。
数値は「動画のどこ」に対応させる
要素と数値をつなげて見ると、どこが効いたのかが分かりやすくなります。
- フック率(3秒再生数 ÷ 表示回数)→ 冒頭の強さ
- ホールド率・視聴完了率 → 構成・テンポの良さ
- CTR(クリック率)→ 訴求とCTAの強さ
- CVR・CPA → 訴求とLPのかみ合い
例えばフック率が高いのにCTRが低ければ、「冒頭では止まったが、中身が期待とずれた」と読めます。フック率の目安は、海外の解説で25%が基準線、30%以上が良好とされています(AdLibrary:Hook Rate)。ただし商材や媒体で差があるため、自社平均との比較を優先しましょう。
分析シートのテンプレート
実際の分析シートは、1行=1本で作ります。以下をスプレッドシートにそのまま写して使えます。
| No | 動画名 | 配信期間 | 消化額 | 冒頭(フック) | 訴求軸 | 構成 | 演者・トーン | CTA | フック率 | ホールド率 | CTR | CPA | 判定 | 勝因・敗因の仮説 | 次のアクション |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 01 | 共感A | 9/1〜9/14 | ○円 | 「朝の支度、10分で終わる?」 | 手軽さ | 悩み→解決→実演→行動 | 30代主婦・友達口調 | 無料で試す | ○% | ○% | ○% | ○円 | 勝ち | 冒頭の具体的な時間が効いた? | 冒頭違いを3本 |
| 02 | 価格B | 9/1〜9/14 | ○円 | 「月○円で…」 | 価格 | 結論→理由→行動 | 20代女性・説明口調 | 詳しく見る | ○% | ○% | ○% | ○円 | 負け | 冒頭は止まるがCTR低い。価格だけでは弱い? | 訴求を口コミに変えて再検証 |
※例の数値は空欄にしています。自社の実績値を入れてください。
列を作るときのコツ
- 判定は「勝ち・負け・保留」の3つにする。配信量が足りないものは無理に判定しない
- 勝因・敗因は「仮説」と書く。1本の結果で断定しない
- 次のアクションは空欄にしない。分析して終わりにしない
勝ちと負けを並べて「本当の勝因」を探す
シートがたまったら、勝ちの動画だけでなく、負けの動画と並べて見ます。
- 勝ち動画に共通する要素を探す(例:冒頭に具体的な数字がある)
- 負け動画にも同じ要素があるか確認する
- 負け動画にはなく、勝ち動画にだけある要素が「勝因の候補」
勝ち動画だけを見ると、「演者が良かった」「BGMが良かった」など、何でも勝因に見えてしまいます。負けと比べることで、候補が絞れます。
1変数ずつ確かめる
勝因の候補が見つかったら、それだけを変えた動画で確かめます。例えば「冒頭の具体的な数字」が候補なら、本編は同じまま、冒頭だけを数字あり・なしで比べます。一度に複数の要素を変えると、どれが効いたのか分からなくなります。検証の本数の考え方はクリエイティブテストの本数で解説しています。
分析でよくある落とし穴
分析を続けていると、次のような思い込みにはまりがちです。
- 1本の大当たりに引っ張られる:1本だけ突出した動画の要素を、すべて勝因だと思い込む
- 数値の良い日だけを見る:数日の好調を切り取ると、偶然の成果を勝ちと判断してしまう
- 見た目の印象で記録する:「なんとなく明るい雰囲気」など、他の人が再現できない言葉で書く
記録は、別の人が読んでも同じ動画を思い浮かべられる言葉で書くのがコツです。「明るい雰囲気」ではなく「自然光の室内・笑顔で話し始める」のように、具体的に書きます。
分析を次の企画に落とし込む
分析の目的は、次の動画を当てることです。月に1回、シートから次の3つを決めて、企画に渡します。
- 残す:勝因とみられる要素(次の動画にも続けて入れる)
- 変える:まだ試していない訴求や冒頭(次の探索に回す)
- 止める:負けが続いている要素(しばらく使わない)
BUZZ MEETでは、毎月1万本以上の広告動画を分析し、その傾向を企画に使っています。自社の配信結果に加えて、市場で配信量を伸ばしている動画の型も参考にすることで、「残す・変える」の判断材料を増やしています。分析から企画・撮影・運用までの流れは事業内容をご覧ください。
まとめ
- 勝ちの定義は「最終指標×配信量の条件×自社の物差し」で先に決める
- 動画を冒頭・訴求・構成・演者・CTAに分け、全部の動画を同じ項目で記録する
- 勝ちと負けを並べて勝因の候補を絞り、1変数ずつ確かめて次の企画に渡す
自社の動画の勝因が分からない方は、無料クリエイティブ診断をご利用ください。分析から改善まで任せたい方はお問い合わせへどうぞ。
よくある質問
勝ちクリエイティブは何を基準に決めればよいですか?
最終的な成果指標(CPAやROAS)を軸に、一定以上の配信量があるものを勝ちとするのが基本です。配信量が少ないうちの好成績は偶然のこともあるため、「どれだけ配信されたうえで良いか」をあわせて見ます。
分析シートは何本くらいたまってから作ればよいですか?
1本目から付けるのがおすすめです。本数が少ないうちは結論は出ませんが、要素を同じ形で記録しておくと、10本、20本とたまったときに傾向が見えるようになります。
負けたクリエイティブも記録する必要がありますか?
必要です。勝ちだけを見ると、負けた動画にも同じ要素があったことに気づけません。勝ちと負けを並べて比べることで、本当に効いていた要素が分かります。
あわせて読みたい
