規制・表現

UGC風広告とステマ規制の線引き|広告表記で押さえる5つの要点

|約6分で読めます|監修 樋口 慧

この記事では、UGC風の動画広告とステマ規制の関係を整理します。結論から言うと、UGC「風」の見た目そのものは問題ではありません。問われるのは、広告主の広告であることが見る人に分かるかどうかです。

  • 規制の根拠と、対象になる「事業者の表示」とは何か
  • 広告枠配信・インフルエンサー投稿・パートナーシップ広告の線引き
  • 動画内で「広告」「PR」をどう見せれば明瞭といえるか

UGC風広告そのものの作り方は「UGC風動画広告とは?」で解説しています。

ステマ規制とは|2023年10月から景品表示法の対象に

ステマ(ステルスマーケティング)とは、広告であることを隠した宣伝のことです。2023年10月1日から、景品表示法にもとづく指定告示「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」として、不当表示の一つに加わりました。

一次情報は消費者庁のページにまとまっています。

押さえておきたいのは次の2点です。

  1. 対象は広告主(事業者)の表示。運用基準は、事業者でない者の行為は告示の対象ではないと明記しています
  2. 事業者の表示であることが明瞭なもの、社会通念上明らかなものは対象外。告示は、広告主の自由な広告活動を妨げるものではないとされています

つまり、「広告を出すな」という規制ではありません。第三者の感想のように見せかけることが問題になります。

「事業者の表示」になるのはどんなときか

運用基準では、見た目は第三者の投稿でも、広告主が表示内容の決定に関与していると認められれば、広告主の表示になるとしています。代表的な例は次のとおりです。

  • 広告主が、第三者にSNSや口コミサイトで自社商品について投稿させる
  • 商品を無償提供し、広告主の方針に沿った投稿をしてもらう
  • 明示的に依頼していなくても、今後の取引をにおわせて投稿を促す

ここでいう対価には、金銭だけでなく、商品の提供やイベントへの招待など経済上の利益すべてが含まれます。

反対に、第三者が自分の意思で、広告主とのやり取りなしに投稿したものは、通常は広告主の表示にはなりません。

UGC風広告の多くは、広告主が企画し、演者に出演を依頼して作るものです。最初から「広告主の表示」であることを前提に、見せ方を設計するのが安全です。

配信方法ごとの線引き

UGC風の動画は、どこで・どう出すかによって注意点が変わります。

出し方 見る人から見た状態 主な注意点
広告主アカウントから広告枠で配信 媒体の「広告」「スポンサー」表示がつく 動画内で第三者の自発的な投稿だと装わない
インフルエンサー本人の通常投稿 本人の投稿として表示される 「PR」「広告」等の表記が必須
本人の投稿を広告として配信(パートナーシップ広告等) 本人名義+広告表示 元の通常投稿にも表記があるか確認
広告主のLP・自社サイトに掲載 自社サイト内の表示 第三者の客観的な声に見える部分は依頼関係を明示

広告枠で配信する場合

運用基準は、テレビCMや新聞の広告欄のように広告であることが明らかなものは対象外の例として挙げています。媒体の広告枠で「広告」等の表示とともに配信されるUGC風動画も、広告であることが分かりやすい出し方です。

ただし、動画の中で「これは広告ではありません」「企業とは関係ない一般人です」と装えば、全体として分かりにくくなります。広告枠に出すから何を言ってもよい、ではありません。

インフルエンサー本人の投稿を使う場合

インフルエンサーに依頼して本人のアカウントで投稿してもらう場合は、広告主が内容の決定に関与しているため、広告主の表示として扱われます。投稿そのものに「PR」「広告」などの表記が必要です。

本人の投稿を広告として配信する仕組み(パートナーシップ広告やSpark Adsなど)を使うときは、広告配信の部分だけでなく、元になった通常投稿にも表記があるかを確認しましょう。広告配信が終わっても、通常投稿はアカウントに残り続けるためです。

依頼内容の記録(依頼メール、提供した商品、対価の内容など)を残しておくと、後から表記の要否を確認するときにも役立ちます。

自社サイトやLPに掲載する場合

運用基準は、広告主自身のサイトでも、専門家や一般消費者の客観的な意見に見えるが、実は広告主が依頼・指示した内容である場合は、そのことを明瞭に示す必要があるとしています。LPに演者の「体験談」を載せるときは特に注意が必要です。

動画内の表記で「不明瞭」とされる例

運用基準は、表記があっても不明瞭になる例を具体的に挙げています。動画広告に関わるものを抜き出すと、次のとおりです。

  • 認識できないほど短い時間だけ表示する
  • 長い動画で、冒頭以外(中間・末尾)にだけ表示する
  • 周囲の文字より小さい、薄い色で表示する
  • 大量のハッシュタグの中に埋もれさせる
  • 冒頭に「広告」と書きつつ、文中で「第三者としての感想です」と打ち消す

明瞭な例としては、「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」といった文言や、「A社から商品の提供を受けて投稿している」といった文章が示されています。ただし運用基準は、これらの文言を使っても、全体から明瞭と認められない場合もあると注記しています。

実務での見せ方の目安

  • 表記は冒頭から、テロップと同等以上の大きさで入れる
  • 投稿文(キャプション)でも先頭付近に書く
  • ハッシュタグの羅列の最後に「#PR」だけ置く形は避ける

UGC風広告で気をつけたい「中身」の問題

ステマ規制は「広告だと分かるか」の問題です。一方で、広告の中身には別のルールがかかります。

体験談の扱い

消費者庁の「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項」では、肯定するよう依頼した体験談を、一般の利用者の体験談であるかのように表示することを、問題となる例に挙げています。UGC風の「使ってみた」系動画は、この点と隣り合わせです。

  • 演者が実際に使ったかどうか、使った事実と語る内容が一致しているか
  • 一部の都合のよい感想だけで、誰でも同じ効果が出るように見せていないか

業種ごとの規制

美容・健康・医療系は、景品表示法に加えて薬機法や医療法の広告規制がかかります。詳しくは次の記事で整理しています。

BUZZ MEETでは、企画の段階で案件ごとのNG表現と表記ルールを洗い出してから台本を作ります。業種別の考え方は美容クリニックの動画広告のページもご覧ください。

チェックリスト|入稿前に確認したい5項目

  1. 広告主の依頼で作った動画であることを、前提として扱っているか
  2. 広告枠以外(本人投稿など)で出す場合、**冒頭から「PR」「広告」**が見えるか
  3. 表記の大きさ・色・表示時間が、見る人に認識できる水準か
  4. 動画内・投稿文で、第三者の自発的な感想だと装う言い回しがないか
  5. 体験談の内容が事実で、業種ごとの表現ルールに沿っているか

まとめ

  • ステマ規制の対象は広告主の表示。UGC「風」の見た目そのものではなく、広告であることが分かるかが問われる
  • 広告枠配信でも、動画内で第三者を装えば不明瞭になりうる。本人投稿では冒頭からの「PR」表記が基本
  • 表記の有無だけでなく、体験談の中身や業種ごとの表現ルールもあわせて確認する

表記ルールまで含めたUGC風動画の企画・制作をご相談いただけます。お問い合わせ

個別の表現の可否は、専門家や媒体の審査基準もあわせてご確認ください。

よくある質問

UGC風の動画広告は、それだけでステマになりますか?

見た目がUGC風であること自体が問題になるわけではありません。消費者庁の運用基準は、事業者の表示であることが一般消費者にとって明瞭かどうかを、表示内容全体から判断するとしています。広告であることが分かる形で配信されているかが要点です。

規制の対象になるのはインフルエンサーですか、広告主ですか?

指定告示の対象は、商品やサービスを供給する事業者(広告主)の表示です。インフルエンサーなどの第三者そのものは対象ではないとされていますが、広告主が依頼した投稿は広告主の表示として扱われるため、表記の管理は広告主側の責任になります。

動画の最後に「PR」と入れておけば大丈夫ですか?

運用基準では、認識できないほど短い時間の表示や、長い動画で冒頭以外(中間・末尾)にのみ表示する場合を、不明瞭な例として挙げています。冒頭から分かる位置・大きさ・時間で示すのが基本です。

監修:樋口 慧(株式会社BUZZ MEET 取締役)

広告用ショート動画の企画・キャスティング・運用を統括。M&A BANK・StockSunのメディアに出演。月100本の制作体制と、毎月1万本以上の広告分析をもとに記事を監修しています。


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